コラム : 相談室の窓辺から

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暖かな風に変えて 2011.02.20

タイガーマスクが全国に出現しているそうです。児童養護施設などに、匿名(タイガーマスクと名乗り)で寄付をする人が続出しているということです。テレビでは「人と人とのつながりが薄れ、自分本位なことが多い最近の世の中に、そういう善意のある人がたくさんいて、心暖まる思いです」と伝えていました。

「心暖まる」のは、困っている人を助けようというその行為自体にもよりますが、匿名であることが、さらに効果があるように思います。タイガーマスクは私の隣の〇〇さんかもしれないし、駅ですれ違ったあのひとかもしれない...そう思うと自分の生きる世界に善意がたくさんあると思え、より「心暖まる」思いになるのではないでしょうか。

心理学では「基本的信頼感」という言葉があります。人間は他の動物に比べて未熟に生まれるため、少なくとも生後一年くらいは他者の保護や援助が必要です。他者の心や体の暖かさに触れ、人間の赤ん坊は 「この世界は自分にとって安全だ」と人間や世界への信頼感を持つのです。ですから「暖かい」は「幸せ」の感覚の基本です。

残念なことに、心暖まるとは逆の話を耳にすることもあります。匿名でネットや手紙で人の中傷や悪口を書きこむなどです。書き込んだ人に聞くと、「軽い気持ちで書いただけ」と言います。でも書かれた人にとっては、自分に敵意を向けた人は隣の〇〇さんかも知れないし、廊下ですれ違った〇〇さんかもしれない... と恐怖を感じてしまいます。書き込んだ人が想像する以上に影響を与えてしまいます。心が冷え冷えとしてきます。

寒い冬もそろそろ終わり、春の陽ざし、暖かな陽ざしが感じられる今日この頃。誰でも心に北風が吹く(人をうらんだり嫌ったりなどネガティブな思いになる)ことはあります。北風をそのまま外に向けて吹くのではなく、自分の中で暖かな風に変えて出すことができたら、自分も人も幸せになります。

ひとりで北風を暖かくするのが難しい時には、信頼できる人に相談して下さいね。
相談室では秘密を守ります。安心して自身の心の中のことをお話にきてください。