龍の眼 2012.04.25

龍眼というフルーツがあります。小さな白い実で、かじると中央に黒々とした丸い種が出てきて、龍にギロリと見つめられたような感じがします。龍の眼に心を見すかされた気がして、ドキリとしました。

今年は龍年のため、雲龍図を特別公開している寺院がいくつかあり、そのひとつに行ってきました。雲龍図は広い講堂の天井いっぱいの大きさに、天空を舞う龍が描かれています。講堂の床には何も置かれておらず、堂内を好きなように歩きまわって見ることができます。 平日の雨の日で、人気も少なく、ゆっくりと場所を変えて、ながめることができました。

雲龍図はある場所から見ると、龍が空から舞いおりてくるように見えました。別の場所から見ると、今度は天に勢いよく昇っていくようにも見えます。同じ龍なのに、自分の立ち位置によって、全く違って見えるのです。

人は悩みを抱えたとき、自分ではいろいろと考えているつもりになっていても、知らないうちに考えが堂々めぐりをして、その悩みから抜けられなくなってしまうことがあります。そんなとき、・・・・ふだんとちがう道を歩いてみる、話したことのない人と話してみるなど、自分の固定された行動を変えてみてはどうでしょう。悩みごともちがった観点で見ることができ、解決策を見出すことができるかもしれません。 そして、不幸（下ってくる龍）と思えたことも幸せ（昇る龍）に思えてきたり、幸せに変えていく力が出てくるかもしれませんね。

雲龍図の龍の眼は、不思議なことに、どの位置からみても、目が合います。いつもギロリと見つめられていると思うと、間違ったことをしてはいけないな、と心を正す気持にもなりますし、いつも自分は見守られているのだ、という気持にもなります。 龍の眼に何を感じるのかは、そのときのその人の心の状態によるのかもしれません。

帰りの飛行機からは雪で真っ白に輝く富士山を見ることができました。地上から見ると、大きな大きな富士山も、空から見ると（龍の眼で見ると）フジツボのようです。立ち位置を変ええるだけでなく、龍の位置から物事を見る「空からの目線」を持てたら、「もうだめだ」と思えるような大問題も「大したことないな」と思え、立ち向かうこともできそうです。

水平上下と自在に自分の立ち位置をずらして物事を見ることができたら、不安や悩みは小さくなっていくと思います。龍年の今年、龍の眼をもって、いろいろなことに立ち向かい、夢を実現していけるといいですね。